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この記事の所要時間: 839

日本語の表現には様々なものがあり、数え切れないほどあります。
現代でも、新しい言葉が生み出され続けていますよね。

そんな日本語の表現でも古くから受け継がれているものの中で代表的なのが

「ことわざ」「慣用句」です。

日本人なら一度や二度は耳にしている言葉だと思いますが、
いざ改まって「ことわざ」とは何か?「慣用句」とは何か?と問われた時に、明確に答えられない方が多いのでは無いでしょうか?

本記事では、そんな「ことわざ」と「慣用句」の違いについて焦点を当てていきます。

それぞれの成り立ちを理解することで、違いについての理解も深まるかと思います。
日常生活でもよく用いられる言葉ですから
ぜひこの記事を読んで理解を深めておきましょう。

ことわざと慣用句の違いとは?

ことわざと慣用句はどちらも昔から現代に伝わる日本語の表現のことを言います。
「違い」というものは明確に定められているわけではありませんが、それぞれ特徴があり言葉の成り立ちが違います。

ことわざは、昔からの知恵や教訓を意味するものが多いですね。
ことわざとは「言(こと)」と「業(わざ)」を足した言葉で、言葉の「業(わざ)」ということですから、人を元気づけたり、励ましたり、
生活に潤いを与えることが出来るような表現であることがことわざの特徴です。

一方で慣用句は、「親の脛をかじる」「猫の手も借りたい」など、2つ以上の単語が結びつき、それぞれの単語とは別の意味を表すようになる言葉をいいます。
それぞれの単語から湧き出るイメージを上手く生かしており、それによってインパクトの強い言葉となっていることも特徴の1つです。
また、「気の利いた語呂の良い『新鮮な』言い回し」として出来たもので、その言い回しが一般の方々にウケて、繰り返し使われているうちに、形だけ残ってしまった表現が慣用句です。

共通点は「昔から受け継がれてきた日本語の表現」ではありますが、
その表現が生まれた起源に違いがありますし、持ってるニュアンスも違います。
どちらも、大切に使っていきたい日本語ですね。

ここからは、それぞれについてより深く解説していきたいと思います。

ことわざとは何か?

ことわざとは何かについてご説明します。
ことわざとは、昔から言い伝えられた風刺や教訓などを含んだ短句のことをいいます。
<補足>
教訓とは・・・教えさとすこと。またはその教えのこと。
風刺とは・・・社会や人物のあり方を批判的・嘲笑的(あざ笑うかのような様子)に言い表すこと。
短句とは・・・字数の少ない句

つまり、教えについてや遠回しな批判について表した字数の少ない句のことを言います。

具体的にどんなことわざがあるのか、有名なことわざを例としてあげてみましょう。

①秋茄子は嫁に食わすな
秋のナスは美味しいので嫁に食べさせるなという嫁いびりの意味がある

②海老で鯛を釣る
小さな投資で大きな成果を得ること

③口は災いの元
不用意な発言は身を滅ぼす要因となり、言葉が自らに災難をもたらすことも多い
うかつに言葉を発するべきではないという戒め

これらは多くの人が聞いたことがあると思いますが、確かに批判について遠回しに表したり、
教訓を分かり易く捉えて表現していますね。

ことわざの多くは簡潔にまとまっていて覚えやすく、短い句の中で的を得た表現を行なっているものが多いですね。

ことわざとは本来、「言(こと)」と「業(わざ)」を足した言葉です。

漢字で書くと「諺」と書きます。
「彦」という字には「くっきりとした顔」という意味があり、「言」と「彦」で「すっきりときれいにまとめて言い切った言葉」とされたようです。
「形よく、道理がたった言葉」との意味もありますね。

また、言語の技術や言葉の活用を指す言葉を「ことわざ」と言ったそうで、
「行いを実現させる力を持つ言葉」や「行いに根拠や意味を与える言葉」を意味していたようです。

何か「力のある言葉」をことわざとしていたということですね。
確かに、ことわざには人を励ましたり、勇気づけたりする効果もあります。
「唱えごと」が、ことわざの一番古いルーツであるともされているようですよ。

確かに、
「為せば成る為さねば成らぬ何事も」
「思い立ったが吉日」
など、ことわざには人を後押ししたり勇気づけてくれるようなものが沢山ありますね。
なんだか、魔法の呪文のようなものかもしれませんね。

 

ことわざの歴史と成り立ち

ことわざのルーツは、中国にあるとされています。
「春眠暁を覚えず」「百聞は一見にしかず」等のことわざは、もともと中国の昔話や詩からとったものでした。
中国は「4千年の歴史を持つ国」と言われていますよね。
その通りで、中国の文明や文化は紀元前のはるか昔からあったようです。
昔の中国の人々が、何千年と掛けて「しきたり」や「習慣」、「教訓」などを織り交ぜて作ったのが、ことわざの原型である「故事成語」です。

 

日本での「ことわざ」という名前の付いた言葉は平安時代に確認されています。
平安時代の初期に「世俗諺文(せぞくげんもん)」という本が出版されています。
今で言う「ことわざ辞典」みたいなものですね。

その「世俗諺文」の中には、「良薬は口に苦し」などといった今でも使われていることわざが乗っていたそうですよ。
中国の「故事成語」にもありますが、それとは別にまた日本で生み出された「ことわざ」もありました。
その多くは庶民の生活の中での実体験や教訓に基づくもののようです。

 

そして現代のように「中国のことわざ」と「日本のことわざ」が混じり合ったのは、江戸時代の中頃。
中国の古典と一緒に海を越えて日本へ伝わったようです。
それまでは、別々のものだった「ことわざ」同士がまじりあい、日本のことわざ文化が出来上がっていきます。
実は、日本の伝統文化である「狂歌」や「狂言」は「ことわざ」がルーツだったりするんですよ。

昔の人々は、教訓をことわざで伝えたり、時にはアレンジを加えながら、現代のことわざの形を完成させていったようですね。
今の「ことわざ辞典」に一番近い形になったのは、明治時代とされています。
「諺語大辞典」として、初めてことわざの専門書がつくられました。
昔の人々の言い伝えが色んな人の手に渡りながらも、今も残っているなんて、なんだか不思議で面白いですね。

 

慣用句とは何か?

慣用句とは、二語以上の単語が結びついて別の意味の言葉になるものを指します。
簡単に言うと「見たまんまの意味ではない言葉」のことです。

分かり易いように例をあげますが、
例えば「目がない」という慣用句は、「とても好き」という意味ですよね。
「私は甘いものに目がないんです」と言うと、私は甘いものがとても好きですという意味になりますよね。

しかし改めてよく見てみるとこの慣用句は「目」と「無い」という言葉が結びついています。
そのままの意味で捉えようとすると、体の一部である目が、無い…と読めますが、そんな意味で使うことはありませんよね。
先ほど解説した通りで、2つの単語によって全く別の意味の言葉を表しているわけです。

また、慣用句の特徴として「慣用句の表現は固定したものでなければならない」ということがあります。
どうゆう意味かと言いますと、先程例に挙げた「目がない」ですがこれを少し変えてみましょう。
「目をなくす」「目がなくなる」…
同じ「目」と「無い」を組み合わせて表現していますが、こうしてみると慣用句である「目がない」の意味とは違う言葉になってしまいますよね。
目玉が無くなるというような意味になってしまいます。

よくよく考えるとこの慣用句というのはとても不思議な表現手法ですね。
でも、普段生活する上で「目がない」という表現に違和感を抱くことはありません。
それはどうしてなのでしょう?次の項で解説していきます。

 

慣用句の歴史と成り立ち

慣用句は、もともと「気の利いた語呂の良い『新鮮な』言い回し」として出来たものだそうです。
その言い回しが一般の方々にウケて、繰り返し使われているうちに、形だけ残ってしまった表現とされています。
自然と日常的に根付いたものとなってしまったため、日本で生活している私達にとっては違和感のない言い回しとなったようですね。
慣用句の起源は明言されていませんが、慣用句は日本人の昔からの風習や文化、発想や知恵が明確に表されているものと言っても過言ではないでしょう。
そのように、外国の慣用句からも、その土地の風習や文化が見えてくるようです。
例えば、
「猫の手も借りたい」
「猫に小判」
「猫の額」
「猫をかぶる」
といった慣用句から、日本人がどのように「猫」を捉えていたのかがわかります。

しかし、慣用句はその土地の文化が現れる素晴らしい言葉の表現でありながら、最近は間違った使われ方をすることが多くなってきたようです。
もともと慣用句は、見た目の言葉とは別の意味を表現するものですが、最近では「見た字をそのまま」捉えられてしまうことも多いようです。
例えば「話の触り」の本来の意味は「話の要点」ですが、現代の多くの人が「話の最初の部分」だと意味を間違えて覚えてしまっているようです。
また、「ぞっとしない」は「面白くない」ですが、「恐ろしくない」と間違える人も多いのだとか。
慣用句は、昔から受け継がれてきた言葉の文化でもありますから、正しい意味を覚えたいですね。

 

あとがき

ここまで「ことわざ」と「慣用句」についてご説明してきましたがいかがでしたでしょうか。
それぞれ、違った魅力的な面がありましたね。
「ことわざ」と「慣用句」、どちらも素敵な日本語の表現ですが、最近増えた言葉もありますし、廃れた表現なんかもあります。
間違えて覚えている言葉も意外に多いかもしれません。
この記事を読んだことを機会に、もっとことわざや慣用句のことに興味をもっていただけると幸いです。